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溶融スズ酸素センサ

Read-Ox溶融スズ酸素センサはフロートガラス製造ラインにおけるティンバス内の溶融スズの酸素活量をオンライン測定するために特別に開発されました。

特性と利点:
  • 溶融スズの酸素と温度の連続モニタリング
  • 設置の容易さ、通常のサーモカップルと同様の寸法
  • 固体参照物、参照ガスの供給不要
  • 酸素関連のトップ面欠陥ボトム面欠陥の減少
  • より効率的および経済的な水素ガスの使用

酸素関連欠陥

ティンバスのオペレーションにおける大きな関心の1つは溶融スズの酸化を防ぐことです。この目的のために、ティンバスには1~10%の水素ガスを混合した窒素ガス(フォーミングガス)からなる正圧の酸化防止用の雰囲気ガスが供給されています。酸素はティンバス周辺の覗き窓からの漏入空気、ガラス板からの拡散、あるいはフォーミングガスの不純物としてティンバス内に入るでしょう。スズ中の酸素レベルがわずか数ppm超えるだけでも、容易に種々のトップ面とボトム面欠陥を招き、生産効率や最終ガラス製品の価値にマイナスの影響を与えるでしょう。

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溶融スズ中における酸素の溶解度は温度に強く依存します。ある温度における酸素飽和レベルが超えた時は、二酸化スズ(SnO2)が溶融スズの表面に形成されるでしょう(所謂、ドロス)。主に酸素溶解度の低いコールドエンド域において生じるでしょう。さらに、ホットエンド域においては温度が上がるにつれ、揮発性の一酸化スズ(SnO)がより低温のオーバーヘッド装置や天井部分にSn やSnO2沈積物を形成しながら、容易に溶融スズから蒸発するでしょう。

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溶融スズ中の高い酸素レベル、およびその結果としての溶融スズ表面や雰囲気ガス中におけるより高いSnO2やSnOレベルは、ブルームやティンピックアップのようなボトム面欠陥を、そして表面のスズ玉、トップスペックおよびクレータードリップのようなトップ面欠陥を引き起こすでしょう。これら全ての酸素関連欠陥は生産効率と製品価値にマイナスの影響を与えます。さらには、高付加価値コーティングの開発では、最小限の表面歪みが品質上求められ、酸素コントロールがより一層重要になるでしょう。

センサの特色

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溶融スズ酸素センサは通常のサーモカップルと同様、ターミナルヘッド(1)、ステンレス鋼製保護管(2)、およびアルミナ製ハウジングチューブ(3)から構成されています。特製の測定先端(4)は、溶融スズに接触しますが、ティンバス内のその特定の環境に最適なデザインです。

酸素電池は、酸素に対する感度を損なうことなく、侵蝕性のある溶融スズによる化学的な攻撃に対してセンサの抵抗性を増す、特別な内製のジルコニアセラミックで作られています。このことは、ある程度長時間にわたっての信頼できるセンサ信号を保証します。さらに、延長アルミナハウジングチューブはサーマルショックをやわらげ、設置作業中の機械的衝撃に対して酸素電池を護ります。

センサの正確な寿命は、温度、溶融スズの流れ、および硫黄のレベルのような、特定のベイにおける各々の環境によります。

3種のタイプの溶融スズ酸素センサを供給しています。各々のタイプはティンバスの特定の領域に対して最適化されています:

  • ホットエンド用センサ:ホットエンド領域の高温に耐える、より丈夫なセンサ(適用温度範囲650~1000 ºC)
  • ティンバス中央部用センサ:ショルダー領域付近のための標準型センサ(適用温度範囲650~850 ºC)
  • コールドエンド用センサ比較的低い温度に対して敏感に反応する酸素電池をもつセンサ(適用温度範囲550~650 ºC )

容易な設置

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溶融スズ酸素センサの寸法関係は通常のサーモカップルのものと同様です。このことはティンバスの全長に沿って設置されているサーモカップルと簡単に取り替えられるということです。溶融スズセンサの測定先端はスズ用サーモカップルと同様に溶融スズに接触します。酸素センサ内蔵のK-タイプのサーモカップルが特定の測定位置における温度を代わりに測定します。その内部の固体参照物のおかげで、参照ガスでのジルコニアセルのフラッシングは必要ありません。大きなアルミニウム製のターミナルヘッドは信号用ケーブル(サーモカップルのmV-信号と酸素電池のmV-信号)をIOSI信号用コンバーターへ接続するために便利な多くのスペースがあります。

可能な節約

現在、ガラス表面欠陥はフロートガラス製造ラインの末端においてガラス板を光学的にスキャンすることによって見つけられています。もし欠陥がティンバス内の酸素レベルが高すぎることに起因するなら、欠陥フリーの生産を取り戻すまでには、より高い水素レベルにてベンチングを増して数時間あるいは数日かかることもあるでしょう。ティンバスの回復が遅いのは大量の酸素のバッファ(平均的なティンバスでは約150トンの溶融スズを保有します)とティンバス内の溶融スズの自由表面域が限定されていることによる比較的低い反応速度に起因します。さらに、ティンバスの回復が遅い間に、水素ガスが豊富な雰囲気によって上部構造に凝結したスズ酸化物が還元され、そして結合がゆるみ、その結果、ガラス板のトップ面欠陥となるでしょう。

もしできれば、ティンバスに沿って幾つかの位置においてティンバス中の酸素レベルを連続モニタリングすることが、そのような好ましくない状況を予防するでしょう。酸素レベルの増加が酸素関連欠陥を招く前の早い段階で発見されます。早めの発見は生産(価値)ロスを防ぎ、あるいは少なくし、そしてティンバス内を再び元に戻すために必要とされる余分な大量の水素ガスを節約します。

さらに、溶融スズ中の酸素レベルに関する、シャットダウン、スタートアップおよび様々なメンテナンス作業の間のバス解放の影響がモニターできます。ティンバス解放後の許容できる酸素レベルまでの回復が正確にフォローでき、そして水素ガスの使いすぎを防ぐことができます。

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信号用コンバーター

Read-Ox社はDINレイル搭載可能型酸素センサインターフェイス(READOX IOSI-01)を提供しています。この信号用コンバーターはRead-Ox酸素センサのために特別に開発されました。溶融スズ酸素センサからの酸素電池のmV-信号とKタイプのサーモカップルのmV-信号が、このIOSI-01コンバーターによって3種の4..20mAのアナログ出力に変換されます。標準の設定は下記の通りです:

ホットエンド用とティンバス中央部用溶融スズ酸素センサでは:

  • I-out1: 溶融スズの温度:4..20 mA = 0..1200 (ºC)
  • I-out2: 溶融スズのLog (pO2):4..20 mA = -40..-10 (-)
  • I-out3: Log(CO):4..20 mA

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出力の計算と範囲は特別に開発されたPCソフトウェアパッケージImOxyConfig を用いてIOSIのUSBポートを通じて(再)プログラミングしてもよいでしょう。顧客はその特定の要望に応じて、この方法でIOSI-01を設定することができます。酸素センサインターフェイスの詳細仕様についてはここをクリックして下さい…